すこやか羅針盤「漢方療法とアレルギー疾患」

今や国民病とも言える程、花粉症を始め、アレルギー性鼻炎・喘息・アトピー性皮膚炎など、3人に1人が何らかのアレルギーを持っていると言われているこの頃です。ではなぜ、そうなってしまったのでしょうか。

アレルギーによる病名は色々ですが、基本的に体質の問題なので、病気になった原因も大まかに言えば同じようなものです。それは

① 遺伝的に体質が虚弱である。

② 特に脾(胃や小腸など)の機能が弱い。

③ 腎(腎臓系統)の機能が弱い。

④ 肺の機能が弱い。

すべて体質や臓器などの虚弱によるものです。そして

⑤ 食事のあり方と生活環境の悪化

がそれを助長しています。

花粉症は40年以上前には無かった病名で、虚弱というより強い人も起こる症状です。主に食事の摂り方の偏りや間違いにより、血液が汚れて粘膜が過剰反応している病態です。

私も両親が喘息持ちだったので、もちろん小さい時から喘息がひどく、学校もよく休んでいました。それにアレルギー性鼻炎も長く、アトピーもありました。

しかし高校生になってからは体力もついてきて、大人になってからはすっかりよくなりました。その時に出合ったのが漢方薬でした。

私は今までの経験から、日本人は遺伝子的にも体質的な病気は、西洋医学より東洋医学的な方法で治した方が早く治るし、再発も少ないと思います。一言でいえば「自然の摂理に従うこと」です。わかり易くいえば、昔ながらの日本人の食生活に戻すことです。現在ではかなりの部分、ストレスが引き金になっている部分もありますが、悪化原因を知ることで、その反対をすれば養生法になります。

【漢方療法におけるアレルギーの原因の考え方】

食事・生活環境・ストレス → 腎虚(免疫力低下)原因の悪化により→ 冷え・水毒~腎虚により腎臓の尿を排泄する力が低下し、体内に余分な水分が残る。これが様々なトラブルを引き起こす。 → 脾虚(小腸や胃腸の機能低下) → 「肺~余分な水分が気管支にたまると=喘息」、「鼻~余分な水分が鼻にあふれると=鼻炎・花粉症」、「皮膚~余分な水分が皮膚・粘膜を弱めると=アトピー」

食生活上の注意

① 和食を中心としてご飯はきちんと食べる!
ご飯は食生活の土台です。パンや砂糖や油、食品添加物などが入っているものが多いです。主食はパンよりも日本人であればご飯がオススメです。

② 副食は野菜中心でバランス良く!
できるだけ旬の季節の野菜・海藻・イモ類・キノコ類を中心に、緑黄色野菜をたっぷりと。

③ 糖分の摂り過ぎに要注意!
糖分は取り過ぎると体を冷やし、細胞をゆるめ、酸性体質になり、アレルギー疾患の1番の悪化要因、炭酸飲料やチョコレートなどの甘い物は控えましょう。

④ 乳製品も摂り過ぎに注意!
牛乳は本来、牛の赤ちゃんが飲むもの。人間がたくさん飲み過ぎると、細胞に水をかかえて粘膜の抵抗力が低下し、アレルギー病が出やすくなります。

⑤ 油物は控えめに!
てんぷら・唐揚げ・スパゲティーなど、油物の摂り過ぎで血液はドロドロになりアレルギーが起きやすくなる体質に。

⑥ 肉類を減らす!
牛肉・豚肉・鶏肉やハム・ソーセージなどはなるべく減らし、魚介類くらいにする。卵類も減らす。肉食過剰で血液が汚れ、体質や粘膜が弱くなる。

⑦ 食物添加物の少ない、できるだけ安心な食品や調味料を使いましょう!
食品添加物でひどいアレルギーが起こったりする場合もあります。

上記以外にも厚生労働省・農林水産省策定の「食事バランスガイド」なども参考にすると良いでしょう。

まず身近な食生活を改善し、体に必要なものをしっかり摂ることでアレルギーになりにくい体質を造りましょう。