今回は、すぐにわかるトランス脂肪酸についてのお話です。6回に分けてお話します。(第6話)
外国ではどんなことをしているの?
- 脂質をとる量が多い先進国の多くは、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸
などを含めた脂質のとりすぎについて、生活習慣病の予防のために 注意喚起を行っており、バランスのとれた健康的な食生活を推奨し ています。 - 脂質やトランス脂肪酸をとる量が多く、
生活習慣病が社会問題となっている国では、加工食品中の飽和脂肪 酸やトランス脂肪酸の含有濃度の表示の義務付け、部分水素添加油 脂の食品への使用規制(注)、食用油脂中のトランス脂肪酸濃度の 上限値を設定したりしているところがあります。
(注)米国の規制に関し、「トランス脂肪酸の食品への添加が禁止された」 等の報道がありましたが、規制の対象は、 その製造過程でトランス脂肪酸ができることがある“ 部分水素添加油脂”です。加工食品の製造工程で、 トランス脂肪酸自体を食品に添加しているわけではありません。
(”部分水素添加油脂”→水素添加油脂には、不飽和脂肪酸の全てを飽和脂肪酸にした「完全水素添加油脂」と、不飽和脂肪酸の一部を飽和脂肪酸にした「部分水素添加油脂」があります。完全水素添加油脂にはトランス脂肪酸も含め不飽和脂肪酸は含まれていませんが、不飽和脂肪酸が残っている部分水素添加油脂にはトランス脂肪酸が多く含まれていることがあります。) - WHOは、トランス脂肪酸の摂取量の目標とは別に、2018年、
加工食品を製造するときにできるトランス脂肪酸を減らすための行 動計画(REPLACE)を公表しました。WHOは、 各国の政府に対し、この「REPLACE」を使って、 2023年までに、 加工食品を製造するときにできるトランス脂肪酸を減らすよう呼び かけており(その後、2025年まで延長)、特に、部分水素添加 油脂の食品への使用規制や、 食品中のトランス脂肪酸濃度の上限値の設定を推奨しています。 こうした規制を導入する国は、近年増加しています。 - トランス脂肪酸には多くの種類があり、
そのすべての合計濃度を測定するのは難しいため、 食品中のトランス脂肪酸の表示を義務づけたり、 基準値を定めたりしている国では、 その対象とするトランス脂肪酸の範囲を指定しています。例えば、 デンマークでは、 炭素の数が14から22までの油脂の加工でできるトランス脂肪酸 を規制の対象としており、 天然にできるものは規制の対象から除いています。 - トランス脂肪酸をとる量が少ない国では、
食品中のトランス脂肪酸について、 表示の義務づけや濃度の上限値の設定は行わず、事業者に、 飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の総量を自主的に低減するよう求めて いるところがあります。
(出典:農林水産省HP)