今回は、すぐにわかるトランス脂肪酸についてのお話です。6回に分けてお話します。(第1話)
油脂や脂肪酸ってどんなもの?
- あぶらには、常温で液体のあぶら(油)と固体のあぶら(脂)
があります。これをまとめて、油脂(ゆし)と呼んでいます。 この油脂は、脂肪酸とグリセリンという分子からできています。 この油脂や脂肪酸、グリセリン、コレステロールなどをあわせて脂 質と呼んでいます。 - 脂肪酸は、炭素(C)の原子が鎖状につながった分子で、
その鎖の一端に酸の性質を示すカルボキシル基(-COOH) と呼ばれる構造を持っているのが特徴です。脂肪酸は、人間のから だの細胞を作るために必要なので、 食品を通してバランスよくとる必要があります。また、 脂肪酸はエネルギー源としても使われます。 - 脂肪酸には、
鎖の長さや炭素間の二重結合の数と位置によってたくさんの種類が あり、炭素間の二重結合がない飽和脂肪酸と炭素の二重結合がある 不飽和脂肪酸の2種類があります。 - グリセリンは、
脂肪酸のカルボキシル基と結合することができる手を3本持ってい て、グリセリンに脂肪酸が3個つながったものは「 トリアシルグリセロール(またはトリグリセリド)」 と呼ばれています。 私たちが普段食べている油脂の成分の多くはこのトリアシルグリセ ロールです。エネルギー源として使われる脂肪酸は、 私たちの体内でトリアシルグリセロールとして蓄えられています。 健康診断の項目にある血液中の「中性脂肪」とは、 このトリアシルグリセロールの血液中の濃度を測定したものです。
トランス脂肪酸ってなんだろう?
- 不飽和脂肪酸には、
炭素間の二重結合のまわりの構造の違いにより、シス型とトランス 型の2種類があります。 - シス(cis)とは、“同じ側の、こちら側に”という意味で、
脂肪酸の場合には水素原子(H)が炭素(C) の二重結合をはさんで同じ側についていることを表しています。ト ランス(trans)とは、“横切って、かなたに” という意味で、 脂肪酸の場合では水素原子が炭素間の二重結合をはさんでそれぞれ 反対側についていることを表しています。 - 天然の不飽和脂肪酸のほとんどは、炭素間の二重結合がすべてシス
(cis)型です。これに対して、トランス(trans)型の二 重結合が一つ以上ある不飽和脂肪酸をまとめて「トランス脂肪酸( trans-fatty acid)」と呼んでいます。 グリセリンに結合している脂肪酸の一つ以上がトランス脂肪酸であ る油脂を「トランス脂肪(trans fat)」といいます。
(出典:農林水産省HP)