今回は、すぐにわかるトランス脂肪酸についてのお話です。6回に分けてお話します。(第3話)
トランス脂肪酸が体に悪いって本当?
- 脂質はエネルギー産生栄養素の一つであり、
食品からとる量が少なすぎると健康リスクを高めることがあります 。一方で、脂質は炭水化物(でんぷんや糖類)、 たんぱく質に比べて、同じ量当たりのエネルギーが大きいため、 とりすぎた場合は肥満などによる生活習慣病のリスクを高めること も知られています。そのため、世界保健機関(WHO)は、 飽和脂肪酸やある種の不飽和脂肪酸について、 食品からとる量の基準を定めています。 - トランス脂肪酸については、
食品からとる必要がないと考えられており、むしろ、 とりすぎた場合の健康への悪影響が注目されています。 日常的にトランス脂肪酸を多くとりすぎている場合には、 少ない場合と比較して心臓病のリスクが高まることが示されていま す。 - トランス脂肪酸による健康への悪影響を示す研究の多くは、
脂質をとる量が多く、 その結果としてトランス脂肪酸をとる量が多い欧米人を対象とした ものであり、 脂質をとる量が少ない日本人の場合にも同じ影響があるのかどうか は明らかではありません。 - 油脂の加工・
精製でできるトランス脂肪酸と天然にあるトランス脂肪酸では、 健康に及ぼす影響に違いがあるのか、また、 たくさんの種類があるトランス脂肪酸の中で、 どのトランス脂肪酸が健康に悪影響を及ぼすのかについては、 十分な科学的情報がありません。
トランス脂肪酸の摂取量はどのくらいに抑えたらいいの?
- 国際機関が生活習慣病の予防のために開催した専門家会合(食事、
栄養及び慢性疾患予防に関するWHO/FAO合同専門家会合) は、食品からとる総脂質、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸等の目標値を 2003年に公表しました。 - その中で、トランス脂肪酸の摂取量を、総エネルギー摂取量の1%
に相当する量よりも少なくするよう勧告をしています。 日本人が1日にとるエネルギー量の平均は約1,900 kcalであり、この1%に相当するトランス脂肪酸の量は約2グ ラムです。
(出典:農林水産省HP)